[か] 行

がいきん[外禁:外出禁止]
  外出禁止のこと。何か悪いことをした場合、ペナルティとして外禁になることが多い。週末しか外に出ることが出来ない航空学生にとって、外禁は非常に辛いペナルティである。

がいしゅつ [外出]

  航空学生の最も楽しみなモノの一つ。外出した航空学生は、まさに檻を逃げ出した野獣のように巷で暴れ回り、店から出入り禁止になることもしばしば。

がいしゅつてんけん[外出点検]
  外出前に行われる服装検査。これに合格しないと外出許可が下りない。滅多にいないが、これで涙を呑んだ学生もいる。

がいさく[外柵]
 

基地と外界を隔てた柵のこと。2メートルに満たない金網張りの柵だが、学生達にとってはベルリンの壁より高く見えるという。彼女に逢いたいばかりに、この金網を越えようよして高圧電流で黒こげになった学生は残念ながら存在しない。(高圧電流自体、流れていないし)


かぎょう[課業]
  一般の会社で言うところの勤務時間のこと。通常、午前8時から午後5時まで。但し、自衛隊は基本的に24時間勤務なので、非常時はこの限りではない。

かぎょうこうしん[課業行進]
  航空学生独特の課業前の慣例。軽やかな「航空学生の歌」の音楽に乗せて、航空学生隊舎前を行進する。

がくせい[学生]
  教育訓練中の自衛官の総称。航空学生教育群のある防府北基地では、航空学生のことを単に「学生」と呼ぶことが多い。

がくせいたい[学生隊]
  航空学生の場合、学生が所属する部隊のこと。航空学生教育群は、この「学生隊」と教官が所属する「教育隊」とで構成されている。

かっぷめん[カップ麺:カップラーメン]
  航空学生の夜食としてもっともポピュラーな食品。ロッカーの中に大量に保管してあり、学生はアイスクリーム同様に自由に取ることが出来る。中でもUFO(焼きそば)は大人気で、一時期は1年生食べることを禁止される悪法まで施行された(もちろん2年生が作ったルール。その後、あまりにもアホらしいので撤廃された)。専用のノートに持ち出し数を記入し、料金は給料日払いになる。これもアイスクリーム同様、月末は計算が合わず、当直学生の悩みのタネ。

かなずえん[金津園]
  岐阜県にある航空学生憧れの場所。そこにいけば、どんな夢もかなうという。誰もみな行きたがるが、遙かな世界(高級すぎて)。岐阜・浜松研修に備えて貯金をする学生もいるほど。

かーびん[カービン:M1カービン]
  言わずと知れたアメリカ製の名銃。航空学生隊の武器庫にもかなりの数が保管されている。しかし、発射する弾はとうの昔に生産が中止されている。ドリルでも使われるワケでもなく、何のために保管されているのかさっぱり分からない。64式と比べるとオモチャみたいな感じ。しかし、定期的に分解清掃させられる。

かんえつしき [観閲式]
  毎年陸上自衛隊熊谷基地で総理大臣に対して行われる関越行進のこと。航空学生隊も参加する。この観閲式のために、航空学生は約1月前から熊谷基地に移動して行進の訓練を行う。熊谷はメシがマズイので有名。

かんおうかい [観桜会]
  防府北基地の慣例行事。簡単に言えば「お花見」のこと。この日は基地全体がお祭りムードに包まれる。入隊して間もない1年生にとっては、ちょっとした息抜きの場となる。ただし、あまり羽目をはずすと、後から先輩に屋上に呼び出されることになる。

かんぱん [乾パン]
  呼んで字のごとく、「乾パン」のこと。よく携帯食として支給されていたが、土曜日などは基地内の食堂に行っても乾パンが出ることがあった。学生のロッカーにストックされている事が多い。

かんぷまさつ [乾布摩擦]
  これも世間一般で認識されている乾布摩擦と同じ。航空学生の場合は、起床点呼後の駆け足の前に、申し訳程度に実施される。効果の程は疑問であるが、確かに2年間風邪とは無縁であった気がする。

かんめし [缶メシ]
  いわゆる、「携帯糧食」のこと。缶入りなので「缶メシ」。ポピュラーな赤飯や鯖の煮付けの他に、たくあんやハンバーグなどメニューも豊富。意外とウマイ。缶メシも土曜日などは食堂で出る事があった。当然ロッカーに貯め込む学生がいて、ある程度貯まったら処分に困って実家などに送っていた。外界では珍しさも手伝って、おおむね好評のようであった。


きしょうらっぱ [起床ラッパ]
  全ての自衛官にとって最も憂鬱なラッパ。基地によっては生演奏らしいが、防府北基地は録音されたものであった。このラッパが鳴ると、どんなに熟睡していても飛び起きて上半身裸でグラウンドに走り出してしまうのは、航空学生の悲しい性である。休日に昼寝している同期に録音した起床ラッパを聞かせたところ、やはり上半身裸で部屋を走り出ていった。周囲は爆笑だったが、本人はマジギレしていた。

きたいじげん [帰隊時限]
  いわゆる、「門限」のこと。この時間までに基地に帰ってこなかった場合、「脱走」とみなされて重い処分を受けることになるため、どんなに飲んでいても時間前には基地にたどり着く。ただし、営門で力尽きる学生も多く、リヤカー部隊(後述)のお世話になることもある。

きちけいび [基地警備]
  文字通り、基地の警備。演習中や非常呼集などの場合、航空学生の役目はもっぱらこの「基地警備」になることが多い。飛行機にも乗れず、専門職の訓練も受けていない航空学生の使い道といったらこのくらいしかないのであろう。

きちさい [基地祭]
  年に一度、基地を一般に開放して行われるイベント。航空学生はここでも基地警備や駐車場整理に追われる。特に駐車場整理では駐車禁止区域に放置駐車された車の人力での移動など、予想外の重労働を強いられる。また、市民から「混んでいて入れない」などの苦情と罵声を浴びせられ、良いことは全くない。

きつえんしんせい [喫煙申請]
  喫煙をする場合に出す申請のこと。航空学生も20歳になれば喫煙をすることが出来るが、隊内で喫煙するためには1500メートルを5分30秒以内で走らなければ許可されない。タイムをクリアして許可が下りても、許可を継続するためには毎月合格しなければならず、結局あまりタバコを吸うことが出来ない。痛しかゆし。
※元56期OBからの情報によると、現在の航空学生は20歳を越えても隊内での喫煙は許可されていない模様。詳しい情報求む!

きほんきょうれん [基本教練]
  敬礼動作や分隊行動など、自衛官としての最も基本的な動作の訓練のこと。入隊後しばらくはこの訓練に明け暮れることとなる。

きゅうか [休暇]
  航空学生が最も楽しみにしているもの。航空学生の場合、春・夏・冬の3回に分けてまとまった休暇を取る。休暇終了直後は退職希望者も急増するので、区隊長や教官にとっては気が気ではない。

きょういくたい [教育隊]
  航空学生教育群を構成する部隊の一つ。主に学生の学科教育を担当する教官が在籍している。制服の自衛官だけでなく、制服を着用しない防衛庁職員も多数在籍しているため、ちょっと雰囲気が違う。

きょうじょう [教場]
  一般に言う「教室」のこと。各区隊ごとに分けられている。学生は学科から自習、雑談、制服のアイロンがけまで、全てこの教場で行う。エロ本・マンガの持ち込みは厳禁である。

きょしつ[居室]
  学生のベットがある部屋。航空学生はここで寝起きすることになる。通常4〜6人部屋で、1年生と2年生が混在して生活する。学生一人に対して、ロッカー(幅40センチくらい)が2つずつ与えられ、これが学生の唯一のプライベートスペースとなる。

くたい[区隊]
  航空学生隊を分割する、いわば「クラス」のようなもの。学生隊は1区隊から6区隊までに分かれている。

くたいちょう[区隊長]
  その名の通り、各区隊ごとの隊長。通常、2年生の区隊長はウイングマークを持つパイロットの幹部が務める。当然、航空学生OBも多い。最近、T氏の同期も区隊長として赴任した。時代は巡るのである。

くたいちょうしつ[区隊長室]
  区隊長がいっぱいいる部屋。ここに呼び出されるのは学生にとってかなり憂鬱である。T氏は区隊長室で約2時間正座をさせられた苦い経験がある。

くつずみ[靴墨]
  航空学生の必須アイテム。消費量は半端ではない。航空学生の生活の中で、学生達は革靴をまるでエナメルの靴のように輝かせるため技を身につける。

くまがやくんれん[熊谷訓練]
  関越行進の為に1ヶ月くらい陸上自衛隊熊谷基地に移動して行われる訓練。学科も熊谷の教場を借りて行われる。使われる教場は戦時中、遺体安置所だったらしい。

くれいじー [クレイージー]
  一般的にはキ●ガイのことだが、T氏在職の頃は某英語教官の事を指していた。時折発する奇声と破天荒な発音、豪快な運転で学生達からは「クレイジー」と呼ばれて恐れられていた。時折見せる素敵な笑顔が恐怖をより一層引き立てていたものだ。何期の学生まで彼の授業を受けたのだろうか。

くれいじーないと[クレイジーナイト]
  2年生の卒業式前夜に行われる航空学生恒例行事。この日が近づくと、なぜか食堂からマヨネーズやケチャップが無くなり、1年生は恐怖におびえ出すという。さる情報筋によると、卒業前夜、消灯前の点呼が終了した後に、なぜか消えたはずのマヨやケチャップを持って1年生を追いかけ回す2年生の姿が多数目撃されている。詳細は不明。

くれ・えたじまけんしゅう [呉・江田島研修]
  海上自衛隊の呉基地や江田島にある海上自衛隊幹部候補生学校の研修。この研修で実物の潜水艦を見ることが出来る。江田島には人間魚雷「回天」やゼロ戦などの展示のほかに、神風特攻隊で散っていった英霊たちの遺書などが展示されている。涙無くしては見ることが出来ないものばかり。

くろでんわ[黒電話]
  航空学生隊の当直室にある電話のこと。外部から学生にかかってくることも多いが、電話の側には当直幹部と当直の先輩学生がいるので、会話中終始「気をつけ」の姿勢を取るハメになる。彼女からの電話で思うように話せず、破局を迎えてしまった学生もいたとか、いないとか。

ぐんしれい[群司令]
  航空学生教育群のトップ。通常、1等空佐であることが多い。航空学生出身の司令は滅多にいない。なぜなら、1等空佐に航空学生出身者がほとんどいないからだ。どうしていないかは聞かないでね。

くんれんひじょうこしゅう[訓練非常呼集]
   非常呼集(緊急集合)の訓練のこと。なぜか休暇の前日には何回も発令される。本当は抜き打ちで行われるものだが、なぜか学生には情報が伝わっている事が多い。一晩にあんまり何回も発令されると、そのうち学生は慣れてしまって館内放送のスピーカーから「サー」というノイズが出ただけで居室を飛び出していた。

けいびけん [警備犬]
  基地警備のために訓練された犬。歩哨犬とも言う。ドーベルマンかシェパードが多い。一説によると、彼ら警備犬は階級が3等空曹であり、航空学生よりも身分が上らしい。やはり基地内ですれ違った時は敬礼しなくてはならないのだろうか。いや、それより警備犬はちゃんと返礼してくれるのだろうか?

けいぴー [KP]
  食堂での食器洗浄作業のこと。簡単に言えば「皿洗い」。航空学生は当番でこのKP作業を手伝うことになっている。

けーぴーぎゃる[KPギャル:KPガール]

  KP作業に外部から来ている熟れた人妻(オバチャン)のこと。女性と接する機会の少ない航空学生にとって、基地内で会話が出来る数少ない異性。ここから始まった恋愛ストーリーも多いと聞く。(ないない!)

けいむたい[警務隊]
  自衛隊内の警察のようなもの。ドリル展示や射撃訓練など、外部に銃器を持ち出すときは必ず別 の車両で付いてくる。警察の場合と同じで、特に悪いことをしている訳でもないのに、警務隊員に出会うと妙に緊張してしまうのは小市民であるが故であろうか。

げきむきゅう [激務休]
  病気や怪我などで、激しい運動や勤務を医務官から禁じられた場合、「激務休」を命じられる。この命令が出ると訓練やクラブ活動を休むことが出来るので、航空学生にとっては喉から手が出るほど欲しい命令。誤った使い方に、「心の激務休」、「夜の激務休」などがある。

げしゅく[下宿]
  外出した航空学生の宿泊先として、3〜4人で借りている部屋のこと。この下宿が決まらないと、外泊は許可されない。先輩から代々申し送られた部屋が多い。アパートだけでなく、一軒家を借りているグループもある。

けんじんかい[県人会]
  同じ県出身の航空学生の集まり。現役からOBまで数多くの関係者が集まる。通 常は話も出来ない大先輩と会話できる良い機会だが、現役航空学生(特に1年生)にとっては気の抜けない緊張の場でもある。

こもんるーむ[コモンルーム]
  航空学生教育隊舎で学生が出入りできる部屋の中で、唯一エアコンが設置されている部屋。本来は自由に使用できるのだが、自由時間は2年生がたむろしているので、1年生は近づくことすら出来ない。真夏にクーラーの利いた部屋でくつろぐ2年生の姿を見るたびに、「早く2年生になりたい」と思ったものである。

こうがくじゃーじ[航学ジャージ]
  様々な場面で着用するお揃いのジャージ(市販品)のこと。胸に「航学」の刺繍が入っている。休日や課業時間外はこのジャージを着用することが多い。1年生と2年生で色が違い(2年生が青なら1年生は緑)、入隊時から2年間同じ色を着用する。T氏は緑色のジャージであった(先輩は青色)。先輩が卒業してT氏が2年生になり、新入生が入隊して青色のジャージを着て歩いているのを見ると、先輩と間違えて条件反射で敬礼してしまいそうになったものである。