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さんがくほめいくんれん[山岳保命訓練]
  書いて字のごとく、冬の山岳でのサバイバル訓練のこと。当然、雪山に不時着した場合を想定しての訓練を行うことになるのだが、なぜか「雪上歩行訓練」は学生たちが思い思いに用意してきたスキー板とスキーウエアで行うことになる。この事から、航空自衛隊の戦闘機には万一に備えてスキー板が常備してあることがうかがえる。また、訓練に熱心な学生たちは、休憩時間にも自主的に「雪上おねーちゃん捕獲訓練」を実施しているようである。

さばかん [佐波-看:さばかん]

  防府北基地の近くにある看護学校の俗称。学校の近くに佐波川という川があるので、自然とそう呼ばれるようになった。ここの学生は12月のダンスパーティーにも参加するため、後々に航空学生の妻となった人も多い。航空学生の妻に元看護婦が多いのはこの為かもしれない。

さいけいれい[最敬礼]
  通常の「10度の敬礼」よりもっと深い45度まで頭を下げる、最も上位の敬礼。最敬礼を行うのは、天皇陛下か殉職した隊員に対してだけであると教えられた記憶がある。うっかり先輩に深い敬礼をしてしまうと、「俺はまだ死んでないぞ!」と怒られたものだ。
※注:自衛隊の場合、着帽していない時の敬礼は、体を10度前に傾ける、いわゆる「おじぎ」をする事である。これを「10度の敬礼」という。対して、着帽している時の敬礼は、広く一般に知られているもので「挙手の敬礼」という。

ささげつつ[捧げ銃]
 

銃を携帯している場合に行う敬礼の事。通常、基地指令などの位の高い人に対して行うことが多い。航空学生の場合、「捧げ銃」を行うのはドリル展示での栄誉礼の時か、観閲式での内閣総理大臣に対してがほとんど。


さんじゅっきろこうぐん[30キロ行軍]
  そのものズバリ、30キロを歩く訓練のこと。航空学生の1年生の時に行われる。単に歩くだけだが、底の硬い編上靴でしかも64式小銃を携帯するため、思った以上に過酷な訓練となる。また、運の悪い学生はBARという第二次大戦の遺物の様な異常に重い機関銃を持たされる羽目になる。

さぎょうふく[作業服]
  その名の通り、様々な作業で着用する服のこと。地味なグレーであまりぱっとしない。部外者からは陸上自衛隊の戦闘服と同じものだと思われているが、実は作りがかなり違う。航空学生の作業服はスプレーのりとアイロンでパリパリになっている。

さんばんかん[三番館]
  防府商店街にある喫茶店のこと。航空学生御用達の店。同じビルに学生の下宿があるため、その下宿自体が「三番館」と呼ばれることもあった。私のお気に入りメニューは「ミックスドリア」今もあるのだろうか....。


じえいたいたいそう [自衛隊体操]
  ラジオ体操のような、自衛隊では最もポピュラーな体操のこと。一昔前の航空学生募集のパンフレットには、真っ白なピンポンパン服を着用した学生がこの「自衛隊体操」を行っている写真が必ず載っていた。自衛隊関係者以外に見られると、ちょっぴり恥ずかしい。

じそうてんこ[自装点呼]
  通常の点呼と違い、比較的楽な服装で受けることが許可された点呼のこと。通常、日曜日などの休日に多く、学生たちはもっぱらジャージなどで点呼を受ける。しかし「自装」を誇大解釈して、仮装パーティーのような服装を1年生に強要する先輩もいる。詳細はそのうち「裏話」にでも書きます。

しどう [指導]
  航空学生では頻繁にこの「指導」という言葉が使われる。1年生にとっては非常にイヤ〜な言葉である。よく先輩に「指導」を受けて半泣き状態になっている1年生を見かける。消灯後に屋上などで「指導」が行われることもしばしばである。2年生にとっては非常に便利な言葉。

じはんき [自販機]
  航空学生隊舎の横にあるプレハブの自動販売機コーナーのこと。テーブルと椅子もあるので学生たちの憩いの場となっている。しかし、本当に憩っているのは2年生ばかりで、常に2年生がたむろしているため、1年生はコーラ1本買うにも命がけである。ジュース飲みたさにとんでもない目にあった1年生も多い。

しぶつばこ [私物箱]
  ただの段ボールの箱。航空学生は、部隊にこの60cm×40cmくらいの箱2つ分の私物しか持ち込むことは出来ない。(私が在職中の話です)

しりょくけんさ [視力検査]
  毎月1度くらいのペースで行われる。遠視力の他に、近視力、視野、動体視力などを検査される。これで引っかかると、「視力回復訓練」を行うように命令される。

しろて [白手]
  白い手袋のこと。式典やドリル展示の際は必ず着用する。刑事ドラマなんかで現場検証の時に刑事がしている手袋みたいなヤツ。

しゃきっと [シャキット]
  スプレー式洗濯ノリの商品名。ワイシャツや作業服などのプレスの際の必須アイテム。制服にまでスプレーする学生がいた。当然、テカテカのカピカピになっていた。

しゃげきくんれん [射撃訓練]
  航空学生課程でも数回数回しか行われない、レアな訓練の一つ。私が在職当時は64式小銃を使用していた。実弾、空砲に関わらず発車後の薬莢(やくきょう)は必ず回収しなければならず、数が足りないと大騒ぎになる。訓練後、コンタクトを落とした人のように全員が地べたを這いつくばっている様子は珍しくない。

じゃんぼたくしー [ジャンボタクシー]
  7人乗れるワンボックスのタクシーのこと。航空学生隊がある防府北基地はとんでもない田舎にあるため、外出時の移動手段はもっぱらタクシーになる。当然、料金はワリカンになるので、ジャンボタクシーが最もコストパフォーマンスが高い。

じゅうけん [銃剣]
  小銃の先端に装着する短剣のこと。銃に装着しない時は腰のさやに納めている。刃渡りは30cmくらいあるが、刃は付いていない。(研がれていない)有事にはグラインダーで刃を入れる。ナマクラとはいっても先端は鋭利で、銃剣を装着した64式を持ってほふく前進をする際に、自分の足に誤って銃剣が刺さってしまい、大けがをした学生もいる。

じゅうけんどう [銃剣道]
  銃剣での格闘を武道化した自衛隊オリジナル(?)の武道。剣道の防具をカスタマイズした様な独自の防具を装着する。木銃の先にゴムの玉が付いたものでつつき合うが、防具以外の所に当たるともの凄く痛い。

じゅうせいそう [銃清掃]
  定期的に行われる。航空学生の場合は主に64式小銃を分解・清掃するが、ごくまれにM1カービンや9mm拳銃(シグワイヤー)を清掃することもある。特に射撃訓練後の銃清掃は念入りに行われ、銃身の清掃は時間がかかる。

じゅうどのけいれい [十度の敬礼]
  着帽していない時の敬礼。身体を前方に10度倒す、いわゆる「おじぎ」のような敬礼。

しょうとう [消灯]
 

文字通り電気を消すことで、就寝時間の事でもある。自衛隊の場合、消灯は10時で、これ以降は基本的に電気をつけることは出来ない。


しょうとうらっぱ[消灯ラッパ]
  基地に消灯の時刻を告げるラッパ。哀愁のあるメロディで、このラッパを聞きながらホームシックでベットで涙する1年生も多い。熊谷基地で聴いた生演奏の消灯ラッパは素晴らしく、演奏終了後に思わず拍手してしまうほど。

しんぎょれん [新魚連:しんぎょれん]
  どこかの漁業連盟のこと(だと思う)。防府北基地の食堂で出る食事には、よくこの「しんぎょれん」製のノリの佃煮などが付いていることが多い。

しんじれん [信じれん]
  標準語で「信じられない」の意。どこの方言かは分からないが、航空学生の間では「信じられない!」といった時に使われることが多い。最初は違和感があるが、卒業する頃には皆、やたらと使っている。

じんちこうちく [陣地構築]
  戦闘訓練などでまず最初に行われる作業のひとつ。地面に深さ1〜1.5メールくらいの穴を掘り、その中に潜伏して敵を待つ。雨が降ると水がたまり、水風呂の中に浸かったような状態になる。訓練後は、きれいに埋めなければならない。

すいえいくんれん[水泳訓練]
  航空学生の夏の名物訓練の一つ。基地内のプールや実際の海で行われるが、泳げない学生にとってはまさに地獄のような訓練。しかし、必ず泳げるようになる。海での訓練は一般の海水浴場で行われるが、ビキニパンツの集団が浜に到着すると、一般の海水浴客はあっという間にいなくなってしまう。

すーぱーしゃしんじゅく[スーパー写 真塾]
  学生たちの心の参考書。その他、よく読まれる参考書に「デラべっぴん」などがある。

せいじんしき [成人式]
  航空学生は在職中に成人を迎える学生が多いが、自分の地元で成人式を受ける学生以外は防府市の成人式に半ば強制的に参加させられる。もちろん、制服(礼装)での参加となる。成人式会場の受付はなぜか「男性」「女性」「自衛官」に分かれていた。

せいそう[清掃]

  掃除のこと。航空学生隊では、毎日朝と夕方に清掃が行われる。航空学生で初めて「ポリッシャー」という電動の床磨き機を扱う学生も多いが、卒業する頃にはプロ級の腕前になる。

せいぼう[制帽]

  文字通り、「正式な帽子」のこと。制服着用時にかぶる。あごひもを白いものに換えて礼装の時にもかぶる。支給品は形が野暮ったいため、自費で相当品を購入するのが流行っていた。ちなみに、制帽に付いている航空自衛隊のマークは、幹部と空曹以下では大きさが違っている。

せいれつやすめ[整列休め]
  通常の「休め」と違い、背中に組んだ手の位置が高い。「気を付け」をするほど緊迫してはいないが、「休め」をするほど和んでもいけないという中途半端な場面で使用される。第三者から見ると、通常の「休め」とどこが違うのか判別できない。あまり意味がないと思うのだが......。

せんけいだいすうがく [線形代数学]
 

ねずみの最も苦手な学科の一つ。航空学生時代はこの科目に終始苦労させられた。これらが得意な人、尊敬します。


せんご[千五:千五百]
  1500m競争のこと。学生の間でも不人気な訓練の一つ。よくペナルティーとして1500m競争を命じられる事も多い。喫煙をしたい学生は、この1500m走で一定のタイムをクリアしなければならない。

せんし[戦史]
  航空学生の学科の中で、数少ない文系の教科。貴重な居眠りタイムでもあった。

せんたくき [洗濯機]
 

航空学生の必需心の一つ。洗面所には6〜8台の洗濯機があるが、いつも争奪戦になる。パンツや靴下など、洗濯機に忘れられた洗濯物が毎月大量に発生するが、全てに名前が記入してあるため、持ち主への返還率は高い。なかなか取りに来ない学生は、館内放送で呼び出される事もある。


せんとうくんれん[戦闘訓練]
  航空学生とは言っても自衛官であるため、やはり陸上での戦闘などの訓練は行われる。陣地構築や幕舎構築、ほふく訓練、射撃訓練など、フライトコースでは体験できない訓練も数多く行われる。航空学生は、迷彩の戦闘服などは、このときくらいしか着る機会がない。

せんにん[先任]
  階級と勤続年数がものをいう自衛隊ではよく使われる言葉の一つ。いわゆる「先輩」といった意味で使われる事が多く、同じ階級なら「先任」の方が偉くなる。航空学生の場合は、「先任期」といえば2年生の事になる。

そうじゅうがくせい[操縦学生]
  航空学生の前身。昔は、航空学生という呼び方は無く、「操縦学生」と呼ばれていた。そのため、古くから自衛隊に勤務している隊員からは、今でも航空学生のことを操縦学生と呼ばれることもある。

そらとぶべっと[空飛ぶベット:空中ベット]
  航空学生の名物の一つ。学生が寝ているベットを、複数の学生が持ち上げ、階段やトイレ、屋上などに移動させてしまう。翌日、そのベットで寝ていた学生は、思いも寄らぬところで目覚めてパニックに陥る事になる。

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