驚愕!T-3の緊急脱出


  これは、T-3の脱出方法にまつわる真実(?)です。

通常、飛行中何らかのトラブルが起きた場合、パイロットはまず事態の回復に勤めます。それでも事態が好転せず、かつ重大な場合は緊急着陸か脱出かの選択を迫られる事になります。

飛行機は、その機種ごとに緊急事態の対処手順が決まっていて、原則的にその手順にしたがって不時着や緊急脱出を行う事になっています。

御存知の通り、現代の軍用機の殆どには「射出座席」というのが装備されていて、レバーを引 けば座席ごとパイロットを空中に射出してくれるようになっています。 もちろん航空自衛隊のすべてのジェット練習機にも射出座席は装備されています。

しかし、プロペラの初等練習機、T-3にはこの射出座席は付いていません。それでは、もしT-3で緊急脱出する時はどうやって脱出するでしょうか?

射出座席が無いT-3の場合、空中への脱出はパイロット自身の力で行わなければいけません。

考えられる方法としては、

(1)ハーネス(固定ベルト)を外す
(2)機外に身を乗り出す
(3)そのまま空中にジャンプ!!

ですとか、

(1) ハーネス(固定ベルト)を外す
(2)背面飛行状態にする
(3)ダウントリムを目一杯取る
(4)操縦桿を支え、背面のまま水平状態を維持する
(5)パッと操縦桿から手を放す
(6)重力とトリムの反作用を利用して機外に落ちる

など が考えられます。
どちらも確かに機外には脱出できるのですが、一つ大きな問題が あります。

機外に出たパイロットが尾翼に激突してしまうのです。 実際、大戦中のパイロットの中にはせっかく機外へ脱出したにも関わらず、尾翼に激突して命を落とした人も多数存在するのです。

従って、この二つの脱出方法にはかなりの危険が伴います。

しかし、T-3にはこの問題を見事に解消する画期的な脱出方法があったのです。

以下はその画期的な脱出法の手順です。

●緊急事態が発生したら、まず冷静に事態を掌握して回復に勤めよ。 もしも事態の改善が望めず、さらに基地への帰投も不可能な場合は 機首を市街地と反対方向に向けた後に緊急脱出の手順を開始する事●

<手順>
(1)まず水平飛行状態でトリムを調整し、機体が安定したら風防を開け、風圧で飛ばされない様に気を付けながらコックピットから立ち上がる。
(2) 次にコックピットから慎重に主翼に降り立つ。
(3) 無事に降り立ったら、主翼の先端に向かって全力でダッシュ!!
(4) そして、大空へジャ〜〜〜ンプ!!

.....以上

これが安全にT-3を脱出する正しい方法だそうです。

ほら!
これなら尾翼にも衝突しないしとっても安全!!

・・・・・・・。

はたして、機体を放棄しなきゃいけない様な切迫した状態で翼の上になど本当に立てるでしょうか?
個人的には絶対に無理だと思いますが・・・・・。
これで脱出に成功した人がいるのでしょうか?

しかし、T-3は初飛行以来、墜落事故ゼロの安全性を誇り、実際にこの脱出法 を試した人は残念ながら(?)まだいないそうです。

教官に聞いた所、 T-3の場合もし緊急事態が起きても、下手に脱出するより機に残って 不時着させた方が、よっぽど助かる確率が高いのではないか..........。 とのコメントをいただきました。


......END